生産システム工学概論 Introduction to Manufacturing Systems Engineering
授業概要
生産システム工学は,モノを効率よく生産するための方法論であり, 自動車,機械,電気,メカトロニクス機器,材料,ソフトウェアなど, 全ての製造企業でのエンジニアリングに関わる者にとってきわめて重要度が高い学問である. 本講義では,この分野に初めて接する初心者向けに,全体像をわかりやすく解説する.
コース前半では概要を把握することを目的として,普段あまり知る機会がない工場内での加工 プロセスや流れについて明快に解説する.後半では,これからの機械情報系エンジニアに強く 期待されている技術として,ロボット技術,センサ技術,コンピュータ(情報処理)技術の3つ をとりあげ,これらが生産システムの高度化にどのように関わっているかを紹介する. 本講義のもう一つの特色は,授業を進めるにあたって,自動車工場など実際の企業における製造事例を 多用して解説することと,環境,品質,安全など,常にその年の重要トピックスを随所にちりばめ, 最新の情報と時代にあった知識を提供することにある.
授業目標
本講義を履修することにより,自動車,機械,電気,メカトロニクス機器,材料,ソフトウェアなど,ほとんど 全ての製造企業における技術者が知っておくべき生産システムの内容と生産最適化の方法論,および特に重要な要素技術であるロボット技術, センサ技術,コンピュータ(情報処理)技術の3つについて,生産システムとの関わりにおいて概要を理解することができる.
授業方法
スライドや板書,配付資料を用いた座学を中心に行う.一部の単元では,理解を深めるために簡単な演習やディスカッションなども 取り入れる.生産システムは,一般の学生にとって普段知る機会が少ない分野なので,実際の写真,アニメーション,ムービー映像 などの多くの実例をビジュアルに示すなど,随所に臨場感を高める工夫をおこなっている.
質問への対応
授業時間内,およびオフィスアワー(メイルでの事前連絡が望ましい)
授業計画
1.生産システムとは何か?
2.さまざまな生産システム(自動車メーカ,電気機器メーカなど)
3.生産システムの構成
4.加工プロセスと機器
5.コンピュータ統合生産(CIM)
6.コンピュータによる設計と製造(CAD・CAM)
7.ロボット生産システム
8.センサ技術と生産システム
9.生産計画と管理
10.生産計画のための最適化工学(ORの基礎)
11.品質管理と信頼性工学
12.生産における価値と経済
13.生産における安全と倫理
14.ものづくり業界における最新のトピックス(環境問題など)
15.まとめ
教科書・参考書
教科書は指定しない.授業時にオリジナル資料や参考資料を配付する.以下の参考書を推奨する.
入門編 生産システム工学(第3版),人見勝人著,共立出版
成績評価方法・基準
本講義は概論なので出席よりも試験や小レポートを重視して達成度を測る.小レポート等の授業への参画状況(約30%)と, 定期試験(約70%)を総合的に評価する.なお,本講義では特に積極的に授業に参画した者に対してはドラスティックに加点評価 を行っている.
履修者へのコメント
生産システム工学は,ほとんどすべての製造業に関係が深い学問ですが,大学で初めて学ぶ人がほとんどだと思います.したがって, 本講義では履修者が超初心者であることを前提として,わかりやすい教材と実例ベースの学習により, 半年間の講義で概要と主要技術を確実に把握することを最大の目標にしています.今後さらに専門的科目としてのセンサ工学,ロボット 工学などを学ぶための助走としてもたいへん効果的なので,しっかり学習してください.